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 ㉓ 中小製造業のグローバル展開 1回目(1/3)

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~P2Mの中小製造業の現地法人への適用~ 0. はじめに 1 ) P2M関西研究会への参加 私は関西P2M研究会に参加した。そこで様々な分野で活躍中のグローバルビジネスのスペシャリストと巡り会った。事例研究における意見交換により、私はグローバルビジネスについての見識を高めることが出来た。      2008年 オフショア開発の事例研究     2012年 グローバル事業展開の勘所 2 ) グローバルビジネスにおける「生き残り」のための勘所の研究 私はITベンダーで、中国や東南アジアに進出する日系製造業の情報システム構築の支援を長年担当してきた。また海外職業訓練協会OVTAで国際アドバイザーとして、海外に駐在員として赴任される方へのキャリアコンサルティング等の人材育成の仕事に携わってきた。 中小製造業が生き残るには「勘所」があるように思われる。関西P2M研究会で吸収した知識とノウハウを活用して、「グローバルビジネスにおける中小製造業のサバイバル戦略」について分析を行う。 3 ) 分析の視点・・「プログラム&プロジェクトマネジメントの視点」からまとめる 中小企業の海外進出については、既にたくさんの書籍が市場に溢れている。それらは海外駐在員による貴重な個人的体験談や苦労話が書かれており、大変実務的で興味深い。しかし、「企業の戦略、リスク分析 、WBS」のようなプロジェクトマネジメントの切り口で統合的にまとめられているものは少ない。ここでは「プログラム&プロジェクトマネジメントの視点」からまとめることにする。 4 ) 目次  以下の様に3回に分割している。 1. 中小製造業のグローバル化動向 1-1 日本の競争力は国際競争力ランキングによると、    現在21位と低迷している。 1991年のバブル崩壊までは日本の競争力は世界一であった。 しかし1991年のバブル崩壊以降、日本経済は長期的な景気低迷に陥っている。 1-2 中小製造業が活性化すれば日本経済は再生する 中小企業及び小規模企業は日本の全事業者数の96%以上を占める。つまり日本の中小製造業が活気を取り戻せば、日本経済は再生することになる。 1-3 中小製造業のグローバル化の動向 日本の市場は縮小傾向にあり、一方アジアの市場は...

 ㉒ 東日本大震災! 復興にあたり政府に望むこと

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3月11日、突然千年に1回あるかないかの規模の東日本大震災が発生した。そして甚大な被害が発生している。 心から被災された方々にお見舞い、ならびに震災でお亡くなりになられた方々にお悔やみ申しあげます。 震災後、生き別れや死に別れの惨状をテレビ報道で見ると本当に胸が痛んできます。また福島の原子力発電所トラブルも一進一退で推移しており、ハラハラドキドキして私の血圧や血糖値もそれに連動して上下している状況です。 先日、天皇陛下によるビデオメッセージが流され、「原子力発電所の状況が予断を許さぬものであることを深く案じ、関係者の尽力により事態の更なる悪化が回避されることを切に願っています」とのお言葉を頂きました。 このような国難であるが、ここでP2M的に【 ありのままの姿 】と【 あるべき姿 】を考えてみたい。 【 内閣のありのままの姿:現状 】 は、政府の中で長時間の議論を重ねるばかりで、いまだ有効な対策を打ち出せていない。役割が曖昧、かつ責任と権限が不明確のままで、原子力発電所のトラブル、被災者支援と災害復興をずっとやるつもりなのだろうか? 心配なのは国民、官僚、野党、与党内等のステークホルダーに対して、利害対立を避けるのではなく、強いリーダーシップをもって前向きに対処する意思の有無である。このままでは日が経つにつれて、理性をもって冷静に我慢しながら行動してきた国民も、不満や愚痴がだんだん高まって来るだろう。  【 内閣のあるべき姿 】 は、ここは国家の重大な危機であり、既存の仕組みを超えて顧客である国民に資する判断を下し、“プロジェクト体制”を即座に構築すべきである。今は “平常時” ではなく、“緊急時もしくは 非常時”なのだから、現状の平常時の組織のままでは、とてもこの国難には対応できない。内閣はこのことを国民に率直に納得させて、その使命達成のためにその“決死の覚悟の姿勢”を国民、特に被災者の方々に直接訴えるべきである。 今回の「地震・津波の災害」や「原子力発電所のトラブル」は想像以上に‘大規模・複雑・不確実’なものである。 それに膨大な人数の被災者の日常生活に密接に関係している事柄なので、精神的にもデリケートな対応も必要となる。 また利害関係が複雑な膨大な数のステークホルダー間の調整も大変難しい。 今後事態の変化に応じた様々なプロジェクトやプログラムが立ち上げられると...

 ㉑  なかなか進歩しない私の中国語学習

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  2008年8月8日、北京オリンピックが盛大に幕を開けた。中国人の民族精神、四大発明、偉大な思想家の孔子の伝統で演出され、「同一個世界 同一個夢想」という北京オリンピックのテーマで世界中の人々が喜びの気持ちを共有した。中国は日本を追い抜く目覚ましい経済成長をしており、私達は中国の話題や中国語に触れる機会が増えてきている。中国には日本にない比類ない生命力がある。 4千年の悠久の歴史を持つ文化、宗教、習慣、生活・・しぶとさがある 。  中国語を母国語としている人は約12億人、世界で最も多くの人口に話されている言語である。英語と同じように中国語が仕事に役立つ時代になってきており、グローバル化の中で中国人と直接コミュニケーションできることは大事である。私の周りの中国人はほとんど日本語を喋るが、日本人で中国語を喋る人は少ない。  PMAJの関西P2M研究会のオフショアー分科会のメンバーの中には中国語の勉強をしている人も多い。メンバーには中国人も含まれている。しかし私の場合は、ダラダラと中国語を勉強しているせいか、遅遅として進まないのである。反省を兼ねて、これまでに私のやってきた中国語学習の経過を省みることにする。 1. 小説や唐詩選を読む  日本人は昔から漢字を学び、長く中国に知らず知らずに親しんできた。 私も学生時代を思い出して見ると、論語や李白・杜甫等の唐詩選を習ったように思う。 吉川英治の三国志も何回も繰り返し読んだ。劉備、曹操、諸葛亮、関羽・・波乱万丈で面白い。曹操は憎たらしいが人を引き付ける魅力がある。  しかしこれら古典文学を何回読んでみても、中国語の会話には全く役に立たない。 2.好きな歌手の歌詞を覚える。  私はテレサ・テンの歌が好きである。とにかく音程が安定して聞き惚れる、很好聽! 日本の美空ひばり、韓国の李成愛、中国のテレサ・テン(鄧麗君Dèng Lìjūn)はアジアの3大歌手とのこと、特にテレサ・テンの中国語の音楽的響きが美しい。「つぐない、愛人、時の流れに身をまかせ、我只在乎你、小城故事、月亮代表我的心・・」とだんだん深みに入っていく。しかし、テレサ・テンの歌が上手になっても、中国語の会話の方はサッパリ上達しない。 3.中国語の会話の本に目を通す。  「中国語のすすめ (講談社現代新書 鐘ヶ江 信光著)」を読んでみた。 この本は中国語の発音・文型・表...

  ⑳ PMAJジャーナル40号掲載  これからの日中関係の課題

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右下の「 続きを読む」を押してから、 下記 url をクリックして下さい。 http://ysakaguchi.com/wp-content/uploads/2014/09/journal040.pdf

 ⑲ PMAJジャーナル33号掲載  オフショア開発の事例研究

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  右下の「 続きを読む」を押してから、 下記URLをクリックしてお読み下さい。 https://www.pmaj.or.jp/library/open/regular/kns20081010.pdf

 ⑱ 人生100年時代におけるシニアの生き方

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2019/09/16   新聞で 「人生100年時代」という言葉をやたらと目にするようになってきた。2016年にロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットンの著作「人生100年時代の人生戦略」という本が日本でベストセラーとなったからだ。奇しくも同じ時期に、小泉進次郎など若手議員が人生100年時 代の社会保障 を提言した。日本政府も人生100年時代構想会議を立上げ、平均寿命が短かった時代の現在の制度で、人生100年時代の現実に合わなくなった部分を改革しようとしている。しかし私は「人生100年時代」の到来と言われても、まだピンと来ない。    ITコーディネータは「企業のサバイバル戦略」を立案するのが役目だが、中高年は人生100年時代の環境変化に対して、自分自身のサバイバル戦略を立案・実践することが必要となっている。ここで、人生100年時代のイメージを明確にするために2065年の年代別の人口構成を確認してみよう(以下のリンク先)。予想通り、日本は年寄りばかりで子供が異常に少ない国になるようだ。   ・2065年の人口ピラミッド、国立社会保障・人口問題研究所   http://www.ipss.go.jp/site-ad/TopPageData/2065.png    人生100年時代が到来したとしても、長寿社会の到来と楽観的に喜んでばかりはいられない。残念ながら、良いこと・楽しいことばかりではなく、満足して幸せに暮らすために1つ1つ解決していかなければならない、悪いこと・心配なことが多い。    ここで中高年の視点で悪いこと・心配なことを3点挙げてみた。最低でもこの3点は解決する必要がある。それは「高齢者の働き方」、「老後の資金計画や年金」、「老後の病気や死に方」である。   1. 高齢者の働き方  寿命が100歳まで延長すると、60歳で定年を迎えた人は心も体も元気だし、残りの人生はまだ40年も残っている。そうなると金銭的理由や生き甲斐の維持のために、多くの人が定年後も働き続けたいと願うだろう。    しかし企業は倒産、廃業、売却を経て統廃合していくものである。すなわち、企業の寿命は短くなっている。現在のIT業界を見るに明白である。老舗のNEC、富士通、東芝、リコーなどかつて優良企業と言われた企業でも、「不...

 ⑰ 経営者からのホームページの活用の相談について

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  2019/02/25 代の私は、古希(70歳)を過ぎ体力と気力が衰えてきた、このまま家でボーっとしてると、早晩、濡れ落ち葉になりそうなので、老け込まないように次の2つの対策をやっている。   1. 趣味をテーマにした個人ホームページサイトを運用する  「Googleアナリティクス」で私のホームページへのアクセスを分析すると、月に300件程度のアクセスがあり、その半数は外国からのアクセスである。ホームページのコンテンツは全て日本語なので多分外国にいる日本人がアクセスしていると推測している。ハッカーからの怪しいアクセスも時々ある。ハッカーは気まぐれで台風や地震のように忘れた頃にやってくる。  時々ハプニングが発生するが、色んな人に教えてもらいながら、自らWordpressを使ってホームページを細々と運用している。     2. 経営者からのホームページの活用の相談について  最近、自営業を社長として営んでいる、昔ながらの友人から「ホームページ」の活用について相談を受けた。同業の競合他社がホームページを戦略的に活用して業績を伸ばしているという噂が耳に入っているようだ。「自社のホームページ」は営業戦略にうまく活用されてないと不満・心配に思われている。なぜうまく活用されていないか、友人の思いを聞きながら探ってみることにした。  友人の話を聞いていると、「ホームページ構築の狙いや目的」がそもそも明確でない。それらが曖昧だと評価基準がないのでホームページの良し悪しの判断ができない。  ただ、冷静に考えるとホームページ構築の狙い・目的を明確にすることは意外と難しい。ホームページは経営戦略を実践するための手段に過ぎない。しかし、その目的を明確に絞りこみ、文書化することは意外と手間と時間がかかる。    友人の会社がホームページを構築したきっかけは単純で、名刺にURLが印刷されてないと「格好が悪い」と営業が社長に報告したことである。自社もホームページくらいないと世間体が悪いとの社員4名全員の意向から、会社のパンフレットの内容をベースに作ったが、記事が更新されず内容が陳腐化してきているようだ。   本質的にこの課題を改善するには、マーケティング・営業・企画についてホームページ戦略を立案・改善できる人材を日頃から育成しておくことが重要であ...

 ⑯ 客観的な事実よりも主観的な判断を優先させる

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2018/10/08 ときに客観的な事実より主観的な判断    先日のコラムで量子コンピュータという斬新なテーマが取り上げられていた。難解な量子コンピュータの仕組みは私にとってチンプンカンプンだが、適用分野が意外と拡大するかもしれないと期待している。  この量子コンピュータの話題の背景には、現在の世の中の仕組みが複雑かつデータが膨大となっており、従来の科学的手法では解決できず、これまでにない画期的な解決手法が求められていることがある。   1. 量子力学とは何か  量子コンピュータは、カナダのD-Wave Systems社が2011年に既に商用化しており、IBM、Googleは2020年から量子コンピュータによるクラウドサービスを始めるようだ。果たして量子コンピュータとはいったい何者か、量子コンピュータの何が期待されているのか。ここでは量子コンピューターの基礎となっている量子力学に触れる。    量子とは、粒子と波の性質をあわせ持つ、非常に小さな物質やエネルギーの単位のことである。物質を構成している電子・中性子・陽子といったものが量子である。量子の歴史は古く、既に百年前から提示されていた。特に粒子と波動の二重性を証明した「二重スリット実験」が有名である。   ・二重スリット実験   https://www.youtube.com/watch?v=-EYmgL8kD2g    この「二重スリット実験」を理解するには従来の考え方から抜け出す必要がある。  つまり「光は波でもあり、かつ粒子でもある」という、それまでの物理学の常識と矛盾する考え方を受け入れる必要がある。もう少し説明すると、波と粒子は別々の性質を持つが、「波として見れば波になり、粒子として見れば粒子になる」という一見不合理な事実を受け入れることに本質がある!  話を分かりやすくするために卑近な例で説明すると、「人間は男性でもあり、女性でもありうる。男性として見れば男性になり、女性として見れば女性になる」という奇妙な考え方を受け入れる必要がある。  別の言い方をすれば、「客観が主観を決めるのではなく、主観が客観を決める」という考え方へ頭を切り替える必要がある。つまり「客観的に考えなくてはならない」という日常の常識を打ち破り、「主観的に考えてもよい」とする。ここに私...

 ⑮  林住期におけるシニアの人生設計の見直し

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2018/05/21     私はインドに観光旅行に行ったり、四国88箇所巡りをしているので、「インド人独特の人生観」には大変興味がある。小説家五木寛之の「林住期」を先月に再読したが、困ったことにますます人生の迷路にはまり込んでくる。    古代インドのマヌ法典では人生を下記の四住期(4つのフェーズ)に分けて、インド人独特の人生観がストイックな視点で表現されている。この四住期の中では第3番目の「林住期」が人生最大のクライマックスとされている。私は丁度そのクライマックスにいる。   A 「学生期」   師について心身を鍛え学習する時期で、まだ一人前とは見なされない。 B 「家住期」   家庭を築き子供を育てる時期で、世俗的な利益(金、地位)を求める。大黒柱となって家族や会社のために金を稼ぐ働き盛りである。 C 「林住期」   人生最大のクライマックスで、真に人間らしく生きる大事な時期だ。世俗的な利益を離れて、解脱(世俗の迷いから脱却)を目指す。 D 「遊行期」   お釈迦様の様に家や家族を捨て、死に場所を求める放浪と祈りの 余生の時期。世俗的な人生観を持つ俗人には無理な生き方である、     私達日本人の生き方で留意すべき点は、Bの「世俗的な利益を求める家住期」 とCの「解脱を目指す林住期」の間には大きな変節点があることである。この人生の “ヘアピンカーブ”のギアチェンジが難しい。俗人的生活に慣れた日本人は林住期を迎えて、“解脱を目指す”という慣れないストイックな生活へギアチェンジし難い。特にぬるま湯(快適で便利な世俗的生活)を求め、その生活にすっかり慣れ親しんできた私にとって“インドの禁欲的な生き方“は理想として憧れはするが、実践はとてもできそうもない。    ここでは“働き盛り”の「家住期」と“人生のクライマックス”である「林住期」の2つの視点からの人生設計を考えてみることにする。   (1)働き盛りの「家住期」は既に過ぎ去った。  私はITべンダーに長年勤めていた。1991年のバブル崩壊まではサラリーマン生活を順調に満喫していた。しかし会社の業績が悪化し、リストラにより早期退職を余儀なくされた。退職後は外資系企業や政府系外郭団体で働いた。日本企業、外資系企業、政府系外郭団体の順に勤めて、それぞれ...

 ⑭  主体性不足だった私のビジネス人生

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2017/12/18 自分の思い通りに主体的に働いていくことは至難の技となっている。中高年は自分を取り巻く雇用状況の変化を冷静に把握するこ<とが大事である。ここでは「雇用状況とその対応方法」についてまとめてみた。   1. 中高年世代の雇用の不安定化  最近の日本の雇用環境は、少子高齢化・顧客ニーズの変化・情報技術の進展により、ますます不安定化・流動化している。三井住友銀行・三菱UFJなどの大手銀行でさえ生き残りをかけて大量の人員削減を計画しており、大量の中高年の失業者の発生が懸念される。地元の関西では、三洋電機はパナソニックに吸収され、シャープは台湾の鴻海精密工業の傘下に入った。グローバル競争の激化により、企業のリストラや統廃合が促進され、その結果少数の勝者だけが生き残り、残りの大多数は敗者となり職場から退場を余儀なくされている。その時狙い撃ちされるのは中高年である。   2. 主体性不足だった私のビジネス人生  私は団塊の世代の前期高齢者である。私のビジネス人生を振り返ると、バブル崩壊までは仕事は概ね順調だったが、バブル崩壊後はリストラによる中高年の転職で苦労の連続であった。今から振り返ると、私のビジネス人生は、好景気や不況の潮流に流されただけで「主体性不足」だったと反省している。    私はリストラによる早期退職の後、外資系企業や政府系外郭団体等で働いた。 1) ITベンダーでは、リストラで退職 2) 外資系企業では、能力不足により退職 3) 次の外資系企業では、成績不振により退職 4) 政府系外郭団体では、民主党政府による事業仕分けで仕事が消滅    外資系や政府系の企業風土はこれまでの民間企業とは異なっており、私の得意技としていた「社内での根回し」はあまり役に立たなかった。苦労して米国の資格を取得したが、これはスキルアップや人脈形成に大変役に立った。プロジェクト管理(PMP)やシステム監査(CISA)等の米国の資格は、「考え方・プロセス」や「権限・義務」が体系的に整理されておりグローバルビジネスでは大変役立った。   3. 日本は先進7カ国の中で「最低の労働生産性」  OECD加盟国の調査によると、労働生産性については日本は「先進7カ国の中で最下位」である。バブル崩壊以降、日本の競争力は低下している。グ...

 ⑬ 中小製造業の海外拠点経営の勘所

2017/07/17 1. はじめに  最近はグローバル化の影響で、今まで海外進出と無縁と思われた企業でもグローバルビジネスや海外進出を検討している。日本企業が海外拠点を設立する場合は、慎重な準備が必要なのは当然だが、1991年のバブル崩壊以降は社内体制の質的な改革が求められている。バブル崩壊以前は日本企業の経営資源(技術、資金・資本、人材等)は中国・アジアの現地企業を凌駕していた。しかし、バブル崩壊以降はその優位性が逆転してきている。そして海外拠点では、マーケティング機能が重視され、現地企業の資本を受入れ、外国人の幹部社員が多数登用されている。  そのため「内なるグローバル化」つまり「日本的経営のままの人事や組織の見直し」が求められている。従来の日本的経営のやり方をそのまま海外拠点に押し込んでも抵抗が大きく定着しない。「内なるグローバル化」で外国人社員が納得できる人事や組織とすることが必要になってきている。   2. 日本の国際競争力は衰退気味  安倍首相のアベノミクスは現在、踊り場に直面している。有名なスイスIMD国際経営開発研究所の調査によると、1990年のバブル崩壊までは、日本の国際競争力はダントツで第1位だったが、バブル崩壊以降は第25位前後まで転落し、現在でも第26位前後を低迷している。日本経済が「デフレ」から脱出するためにも、経済活性化のための有効な施策の実施が望まれており、中小企業庁は「ミラサポ」で中小企業の国際化を積極的に支援している。   3. 競争力のある中小企業の海外展開  少子高齢化により日本の人口は減少しており、日本の市場規模は縮小している。更に近年シャープや東芝が外国資本を受け入れて再建を目指す等、大手製造業の業績は停滞気味である。  一方、日本の中小企業の企業数は全体の99.7%にも上り、その中には独自の技術・ノウハウで海外でも通用する中小企業は多い。このような企業に海外で活躍してもらい、日本経済を再び活性化してほしい。   4. 海外進出した中小企業が失敗するケース  リーマンショック以降は、海外拠点では現地企業の資本を受入れ、外国人社員を多数採用している。そのために日本的経営をそのまま海外拠点に持ち込むと、外国人の役員や幹部社員とのコミュニケーションに不具合や摩擦が生じる。海外拠点での日本式経営スタイル...

 ⑫  IT業界におけるシニアの処世術

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  2017/01/30   酉年の今年はどんな年になるのだろうか。トランプ氏の米国大統領就任などにより政治も経済も不安定になる。ITC京都のメンバーはIT業界で働いている人も多く、かつ技術力・人脈など人材は多士済済である。しかしIT企業の栄枯盛衰・新陳代謝は進展しており、雇用環境も多様化して、報酬や待遇の差は大きくなるだろう。  ここでは、まずは雇用環境の背景となっている”IT業界の光と影”から考えることにする。   1.  IT業界の最大の問題点  IT業界は、「ITを上手に使う立場の人間」か「ITに使われる立場の人間」に二分されてきている。世渡り上手な人はITを活用して高給を取り、反対に世渡りが下手な人は残念だが頑張っても薄給になる。  IT業界はこの変革の時代に“リスクを犯してチャレンジする新規参入者”を積極的に迎え入れ、新陳代謝を促してIT活用によるビジネスチャンスをもっと増やさないといけない。  日本のIT業界は花形産業としての明るい「光の側面」もあるが、反対に旧態依然とした体質が残っており、下記のような暗い「影の側面」の改善が求められている。    1)  系列化された企業グループ内の多重下請体質    安定はしているが、保守的で技術革新が起こりにくい。  2) 業界標準となる統一されたエンジニアリング手法が普及してない    ベンダーがバラバラに開発しており、業界の標準化が遅れている。  3) ガバナンス不足による不正経理、セキュリティ問題    経営者による粉飾決算、架空計上、循環取引、情報漏洩の事例。  4) あいまいな労働契約    派遣偽装請負、労働関係法の違反事例。  5) 劣悪な労働環境のために人材の採用・定着が不安定    新卒採用が難しい。将来性に不安を持つ若手や壮年社員の離職。  6) 社員の能力開発に対して不熱心    目先の業績に追われ、長期的な視野に基づく人材育成が出来ていない。    このように様々な問題点を抱えているが、最大の弊害は多重下請体質であると私は思う。   2. 自社系列内の多重下請構造の問題点  一言で言えば、多重下請の問題点は「上流にいる者が美味しい水を飲み、下流にいる者はまずい水を飲まされる」という不平等な業界構造である。「上流工...

 ⑪  日本型経営スタイルの見直し

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  2016/08/01 1. 日本型経営スタイルの見直し  バブル崩壊まで日本人は脇目も振らず“頑張り精神”で働いた。そして1980年代にはジャパン・アズ・ナンバーワンといわれる経済大国となった。この日本人の頑張り精神は、年功序列・終身雇用制度に守られた社員が全員一丸となって頑張るのが特徴である。しかしこの日本的な頑張り精神は次第に通用しなくなってきている。  私のサラリーマン生活を振り返ると、若い時は頑張り精神で丁稚奉公的に働き、40代過ぎからやっと小さな花が咲く“遅咲きの桜”であった。年功序列・終身雇用を重視する人事制度は成長期には強みだったが、停滞期になると途端に弱点に急変した。バブル崩壊すると、企業は割高な給与となった中高年社員を雇う余裕を失った。リストラで早期退職募集を行うと、社員のモチベーションやロイヤリティは大きく低下する。この時期に、私は勤め先を早期退職し、その後、外資系 企業や政府系の外郭団体等で働いてきた。  リーマンショック以降、少子高齢化で国内市場は縮小しており、日本のビジネス環境は急変している。韓国・中国企業の台頭とともに、花形産業だった電機業界は次第に競争力を失い、残念なことに今年春にはシャープまでもが台湾企業に買収されてしまった。   2. 求められている組織・人材とは  これまでは“皆一緒に協力、団結力を重視”だったが、これからは“バラバラに、個人の専門性を最大限に活用”へ変わっている。今求められている組織・人材は、“同質性の高い何でも屋”ではなく“異質性の高いプロフェッショナル”である。プロフェッショナルは“他社に転職しても市場価値がある”ことが前提となる。  グローバル化により日本を守る障壁(国境、通貨、言語、制度)は消失し、ボーダレス化して外国の資本・人材・商品が日本国中を自由自在に動き回っている。会社間の統廃合が活発化する。組織・人材は流動化し、かつ仕事は短納期化してくる。組織はライン型からプロジェクト型となり、即戦力のプロフェッショナルが求められる。   3. 人事制度の変革・見直しが必要  日本企業は“年齢や勤続年数”を重視する“職能給制度”を採用している。一方、欧米の“職務給制度”は、多様な民族が混在する米国で生まれたドライな仕組みである。部門の職務を明確に定義して、社員の“貢献度やスキル”...